6m 5/8波長GP?の試作
6m 5/8波長GP?の試作
目的
夏のシーズンに向け,50MHz帯のアンテナを整備する.マッチング部を持つアンテナを作製し,調整を体験する.
背景
部室の前に建てようとして失敗した10m 5/8λGPのリベンジということで,釣竿を使った5/8λの放射器とする.なぜ1/4λの接地形でないかというと,現在設置してあるマグネットアースシートが50MHz帯用になっていないということがある.また,ベランダ内部のラジアル線は他のバンド用に占拠されているので追加しにくいという事情がある.また屋根が近いため,基台から釣竿によって外へ突き出す形にする.
設計
だいたいの構造は図の通りである.各長さの値は設計値
灰色の部分が釣竿,右の黒いのがベランダの壁および基台である.釣竿が4.5m長であるため,ラジアルをエレメントの余裕だけ建物から離れてぶらさげることができている.
マッチングには同軸スタブを用いた.アンテナに対して直列に同軸が入り,さらに給電線との接続点で並列にショートスタブが接続されている.この形式のマッチングセクションはMMANAのオプションに計算機能があって便利だった.
作製の流れ
- 所定の長さのエレメントおよびラジアルを用意する
- 同軸aを長めに切断してコネクタをつける
- アンテナと同軸aのみを設置し,インピーダンスを測定する
- インピーダンスが期待される値に近付くまで同軸aの長さを調整する
- 最終的なインピーダンスからマッチングに必要なリアクタンスを求め,ショートスタブの長さを計算する
- スタブを接続し,SWRが小さくなるように調整する
インピーダンスの測定にはAA-170 アンテナアナライザを用いた.
各段階でスミスチャートにインピーダンスをプロットするとイメージしやすく便利だった.これにはMr. Smithを利用した.
実験の様子
シミュレーション時点での,同軸aの接続した場合のインピーダンスは1.24-j7.76Ωだったが,実際に作製すると3.1-j0.5ほどだった.このときに切断すべき同軸aの長さは,スミスチャート上で,シミュレーション時点でのマッチングの軌跡と,同軸の長さが作る円の交点をみて検討をつけたが,これが本当に有効かは考える必要がある.(図の3)
同軸aの切断は次の表のようになった.
行動 | 抵抗 | リアクタンス | 変化させる方向 | 推定される変化 |
目標 @50.5 | 1.24 | -7.76 | ||
同軸スタブ1回目 | 3.1 | -0.5 | ながすぎ | 0.495l (-0.005l) |
2.5cm(0.006l)ほどカット | 3.2 | -1.7 | まだながい | 0.462l (-0.033l,13cm) |
13cmほどカット,ちょっとまわす | 2.7 | -12 |
この時点で,ショートスタブに必要なインダクタンスは0.04uHほどと求められた.これの接続および切断によるインピーダンスの変化は図のようになった.
ここでマーカー1が初期インピーダンス,0と2から5が接続するスタブを調節したときのインピーダンスである.また,円は等SWR曲線である.
成果物
最終的に,アンテナのSWRは表のようになった.
50.100 | 50.400 | 50.500 | 50.750 |
1.48 | 1.06 | 1.12 | 1.48 |
想像より帯域幅はせまくなってしまったが,FMに出ないようならば十分そうな特性がえられた.
まとめ
なにはともあれ,6mに出れそうなアンテナができてよかった.少しスミスチャートとなかよくなれた気がした.想像よりはシミュレーションおよび設計値に近いような寸法で作製できてびっくりした.飛び具合に関してはロケーションの関係もあり,あまり期待できないが少しは出てみようと思う.
TODO
説明をましなものにする
追記
- 釣竿をまわすだけでSWR特性がずいぶん変化する.左右に降るだけで中心周波数を上下できる!もちろん実験したセッティングでいちばん良くなるのはそうだが.